一戸建て住宅の浄化槽に関する費用相場と補助金情報まとめ
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注文住宅を含む戸建て住宅を建てる場合、地域によっては浄化槽が必要になります。日本での下水道の普及率は80.1%※ですので、それ以外の20%程度の地域では下水道が未整備ということになります。こうした地域で家を建てるには浄化槽が必要になります。浄化槽を設置する場合、どのような工事が必要で、費用はどれくらいになるのでしょう。下水道が未整備の地域で家を建てる方に向けて、浄化槽の工事費用相場や補助金情報について解説します。
※公益社団法人日本下水道協会 2021年度末の調査結果より

目次

  1. 一戸建て住宅と浄化槽の関係
  2. 一戸建て住宅の浄化槽に関連する費用
    1. 浄化槽の定期的なメンテナンスが必要
    2. 保守点検と水質検査が必要
  3. 浄化槽の種類
  4. 浄化槽がなければ法律違反になる
    1. 水質検査と定期検査は法律で義務化されている
  5. 活用したい浄化槽の補助金制度
    1. 補助金の有無について自治体に確認を
  6. 自然に安全な水を還すために

一戸建て住宅と浄化槽の関係

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下水道が設置されている地域であれば汚水を下水道に流せばよいのですが、下水道がない地域ではそれを自然界にそのまま流すことは下水道法で禁止されています。

理由はもちろん環境への影響を防ぐためで、これに違反すると罰則規定もあります。下水道がない地域ではそれに代わる設備として、浄化槽を設置する必要があるわけです。

浄化槽は微生物の働きを利用してし尿や生活雑排水といった汚水を浄化する機能をもっており、下水道がない地域では住宅に浄化槽を設置することによって汚水を自然界に流してもよいレベルにまで浄化します。

下水道がない地域では汲み取り式のトイレを連想する方は多いと思いますが、浄化槽があれば汚水を浄化できるため、バキュームカーによる汲み取りの必要はありません。

一戸建て住宅の浄化槽に関連する費用

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それでは、一戸建て住宅に浄化槽を設置するにはどの程度の費用がかかるのでしょうか。もちろん家族構成によって汚水の量が異なるため、家族構成や人数によって最適な浄化槽は異なります。

5人家族向けの浄化槽は「5人槽」と呼ばれますが、5人槽だと本体費用と設置費用込みで80~120万円程度が相場です。

もっと家族が多い場合は浄化槽の規模を大きくする必要があるので、家族の人数が多くなるほど浄化槽の設置費用は高くなるとお考えください。

浄化槽の定期的なメンテナンスが必要

設置費用に加えて、浄化槽は定期的なメンテナンスが必要なので、そのための費用も見ておく必要があります。

このメンテナンスについても年に1回の清掃とその記録を3年間保存することが浄化槽管理者の義務として法律に定められているので、少なくとも義務になっている分のメンテナンス費用が必要です。

この費用の相場は、2~3万5,000円程度です。ただし浄化槽のサイズや清掃業者によって値段は異なります。

保守点検と水質検査が必要

さらに、定期的な浄化槽の保守点検と水質検査が必要です。保守点検については5,000円程度、それを3年に3、4回行うことになります。

水質検査は年に一度のメンテナンスの一環として行われるもので、費用の相場は1万3,000円程度です。

浄化槽が古くなったときには撤去しなければなりませんが、撤去するには工事が必要です。工事は、「解体」と「撤去」の2段階で、解体費用は3~6万円、撤去費用は6~10万円程度が相場となっております。

したがって、浄化槽の撤去にはおおむね6~16万円程度の費用が必要になります。ただ浄化槽のサイズや種類によっても金額は違ってきます。

浄化槽の種類

浄化槽を知るパンフレット 微生物の働きで浄化
(画像=浄化槽を知るパンフレット 微生物の働きで浄化)

(引用:環境省 浄化槽を知るパンフレット 微生物の働きで浄化

浄化槽には、大きく分けて2つの種類があります。ここでは浄化槽の種類とどんなものが現在の主流になっているのかについて解説しましょう。浄化槽には、以下の2種類があります。

浄化槽の種類 概要
個別処理浄化槽
(単独処理浄化槽)
トイレ排水(し尿)のみを処理する浄化槽。「みなし浄化槽」と呼ばれることもあります。低コストで手軽に設置できるメリットがあります。
合併処理浄化槽 生活排水全部を処理できる浄化槽。平成12年の浄化槽法改正以降はこちらが推奨されており、個別処理浄化槽を設置している住宅でも合併処理浄化槽への交換が進められています。BOD除去率(※)が高く、生活排水すべてを処理できるのがメリットです。

※BOD:環境省 水中の微生物によって有機物を分解するときに消費される酸素量を表した値

1人あたりの1日あたり生活排水に含まれるBODの量は40グラムですが、合併処理浄化槽を使用するとBOD除去率が90%以上なので4グラム以下に減ずることができます。

上記の流れから、現在住宅向けに浄化槽を設置する場合はほとんど下段の合併処理浄化槽が採用されています。

浄化槽がなければ法律違反になる

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ここまでの解説で浄化槽の設置やメンテナンスにはさまざまな法律による規定があることがおわかりかと思います。

浄化槽の取り扱いについては主に浄化槽法が根拠となってさまざまな義務や取り決めがあります。まず、下水道設備がない地域に建てられる家には浄化槽が設置されていなければなりません。

生活排水やし尿などをそのまま自然界に流すことは法律で禁じられています。理由は先ほども述べたように、環境保護のためです。

浄化槽法は平成13年に改正されていますが、その改正では設置する浄化槽を原則として合併処理浄化槽にすることを義務づけています。

水質検査と定期検査は法律で義務化されている

そして浄化槽法では浄化槽の使用開始後8ヵ月以内の水質検査と、毎年1回の定期点検も義務づけられています。設置したらすべて完了ではないところも法律の特徴なので、押さえておいてください。

なお、浄化槽法で義務づけられていることを怠ると、「30万円以下の過料」という罰則の規定もあります。

活用したい浄化槽の補助金制度

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下水道の設備がない地域では浄化槽の設置が義務づけられていることは理解していただけたと思います。しかし義務となっているからといって費用まで国が出してくれるわけではありません。

下水道がある地域であればそのまま下水道を利用すればよいわけで、これって不公平だと思われた方もおられるのではないでしょうか?

下水道の設置や維持にも多大なコストがかかっているので、使用者は下水道料金を負担しています。下水道はタダとういわけではなく、すべての使用者は毎月の料金を支払っています。

浄化槽のように自前で費用を負担しているわけではないので見えにくいですが、生活排水を処理する費用を負担している点では同じです。

補助金の有無について自治体に確認を

それでも浄化槽の設置費用はまとまったお金が必要になるので、その費用負担を少しでも軽くしたいとお考えの方は多いと思います。そこで検討したいのが、自治体に設けられている浄化槽の補助金制度です。

全国の自治体が設けているのは主に単純処理浄化槽(みな浄化槽)を合併処理浄化槽に設置替えするための補助金です。

これらは新規に設置するためのものではありませんが、該当する浄化槽の設置替えを検討している方には役立つ制度となるでしょう。

お住まいの自治体にも同様の制度がある可能性があるので、一度確認してみてください。

自然に安全な水を還すために

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一戸建て住宅を建てる費用は数千万円クラスの買い物になるので、そのなかで浄化槽が占める比率はそれほど高いものではありません。

浄化槽の存在意義は生活者目線だと実感しにくいですが、BODが大量に含まれた生活排水をそのまま自然界に放流すると環境汚染につながり、やがてその代償は自分に跳ね返ってきます。

自然のために浄化槽を設置するコストを負担するという考えではなく、環境のための出費は最終的に自分のところにメリットとして返ってくるという考えで浄化槽を適切に設置し、維持していきたいものです。

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