注文住宅購入にかけられる費用をシミュレーションしてみよう
(画像=shashamaru/stock.adobe.com)

注文住宅を建てる際、予算はどの程度見込めばいいのでしょうか。住宅購入は大きな買い物ですので、将来の生活にも影響がないようにしっかり資金計画をたてる必要があります。そこで本稿では、住宅購入にかける費用を考えるための流れを解説いたします。

新築注文住宅の予算平均ってどのくらい?

すでに建物が完成して販売している建売住宅の場合、住宅購入費用はその住宅販売価格となり、おのずと決まってきます。しかし、注文住宅の場合、かかる建築費用はデザインや間取りなどの設計や仕様、設備などの条件でいくらでも変わってきます。

それでもおおよその目安として、注文住宅の建築費相場を知っておくことも予算を考えるにあたり参考になります。

住宅金融支援機構の2019年度フラット35利用者調査によれば、注文住宅を建てた人の建設費(建築費)の全国平均は、すでに建物を建てるための土地がある人の場合で約3,452万円となっています。また、家を建てるために土地を取得したうえで、注文住宅を建てた人の建設費は約2,874万円となっています。

すでに土地がある人の場合は、土地取得に費用がかからない分、建物にお金を多くかける傾向にあるようです。

注文住宅を建てる費用の内訳

注文住宅を建てるためにかかる費用の内訳は、「建物の価格」「付帯工事の価格」「諸費用の価格」「土地の価格」です。かかる費用の内訳をその割合でみるとおおよそ以下のようになります。

【注文住宅を建てるためにかかる費用の内訳】

  • 建物本体価格(70%)
  • 付帯工事価格(20%)
  • 諸費用価格(10%)
  • 土地の価格

注文住宅を建てるにあたり「坪単価◯◯万円」といった表示を見ることがあるかもしれません。例えば、延床面積が30坪で坪単価が80万円といった場合、建物価格は2,400万円(80万円×30坪)になります。

このように多くの場合「坪単価」は「建物本体価格」を指していて、付帯工事価格や諸費用価格を含んでいないことには注意が必要です。さらに、建物本体価格と付帯工事価格の内訳を見ていくと以下のようなものが含まれます。

建物本体価格 基礎工事費、木工事費、内装工事費、外壁工事費、左官工事費、仮設工事費など
付帯工事価格 外構工事費、地盤改良工事費、水道・ガスなどの引き込み工事費、冷暖房や照明などの設置工事、解体工事費(既存住宅などがある場合)など

見落としがちな諸費用の内訳は?

建物本体価格や付帯工事費などは建築業者などと打ち合わせをしていきながらしっかり見積もりも出していくので予算を考える際にあまり大きな見落としは起きないかもしれません。見落としに注意が必要なのは諸費用です。

諸費用には以下のようなものがあります。

諸費用 住宅ローン手数料や保証料、登記費用、各種申請費用、印紙税、火災・地震保険費用、地鎮祭・上棟式などの儀式費用、家具・家電費用、引っ越し費用、仮住まい費用(建て替えなどの場合)など

家を新たに建てるタイミングというのは、その背景にライフスタイルの変化によることも多いかと思います。そのため、特に諸費用のなかでも家具・家電費用などはライフスタイルに合わせて新たに買い揃えるか、これまでのものを使い続けるかでもその費用は大きく違ってきます。

必要なものをしっかりリストアップして費用を見積もりましょう。また諸費用は現金で支払うケースが多いため、支払いの準備にも注意が必要です。

注文住宅の予算の決め方で失敗しない方法

注文住宅の購入は大きな買い物です。また多くの人は住宅ローンを組むことになり、購入後は長期にわたって返済をしていくことになります。20年、30年と長い期間ローンを組むには、計画性が必要になってきます。

しかし、住宅などそう頻繁に購入するものではないので、どのように計画を立てたらいいのかわからない方がほとんどでしょう。そこで本章では、具体的な計画の立て方を解説します。

ライフイベント表やキャッシュフロー表を作る

住宅を購入するにあたっては、住宅購入にかかる費用だけでなく、将来の生活に必要なその他の費用(生活費や教育費用、老後費用、趣味などにかけたい費用など)もしっかり検討して資金計画(ライフプランニング)を立てることが大切になります。

ライフプランニングの大まかな流れは以下のようになります。

ステップ1 現在の家計収支や資産・負債の状況を把握する
ステップ2 将来のライフイベント(予定や目標、夢)とそれにかかる(かけたい)費用を洗い出し、ライフイベント表を作る
ステップ3 現在の家計と将来の予定がわかったら、家計のキャッシュフロー表を作成する

まずは、Excelやスプレッドシートなどを利用しライフイベント表を作るといいでしょう。ライフイベント表を作ったら、次は家計のお金の変化を把握するキャッシュフロー表を作成します。

ライフイベント表を作ることによって、今後どんなイベントがあるのか、人生において何を優先すべきかが見えてきます。そしてキャッシュフロー表を作ることによって、現在から将来までの家計の変化をチェックすることができます。

こうすることで、このままの家計で住宅が購入できるのか、夢や目標がかなうのか、赤字にならないかなどが見えてくるようになります。そのうえで、住宅購入に充てることができる費用はどのくらいかを決めていくようにしましょう。

住宅購入に充てることができる費用が把握できたら、購入予算を決めるにあたり自己資金や住宅ローンの借入額を検討します。

特定非営利活動法人(NPO法人)日本FP協会のホームページからは、ライフイベント表やキャッシュフロー表のExcelファイルをダウンロードすることが可能です。ホームページには記入の仕方などが記されているので初心者でも安心です。ぜひ活用されてみてください。

日本FP協会 便利ツールで家計をチェック

住宅購入に充てる自己資金の額の決め方

ライフイベント表やキャッシュフロー表を作ったら、次は住宅の購入に充てる自己資金額を決めましょう。住宅購入では頭金なしで住宅ローンを利用する人もいるかもしれませんが、一般的には物件価格の1割〜2割程度の頭金を用意するのが理想とされています。頭金とは手持ちの預貯金などから支払う現金のことで「自己資金」ともいいます。

また住宅購入にかかる費用のうち、諸費用などはその支払いに現金が必要となるものが多いので、それらの支払いのためにも自己資金の準備は必要となります。

住宅購入に充てることができる自己資金が多ければ多いほど、住宅ローンの借り入れを少なくすることができ、将来の返済負担を抑えることができます。ただ注意が必要なのは、将来の返済負担が抑えられるからといって、手持ちの預貯金のほとんどを自己資金として住宅購入に充てたりするようなことはしないことです。

手持ちの預貯金にはすでに予定している別の支出分を残す必要がありますし、想定外の支出や収入が減るなど、もしものときに困らない程度のお金は残す必要があります。万が一のための予備費としては、生活費の1年分程度を確保しておければ安心かと思います。

それらのことを踏まえて自己資金の額を決めるようにしましょう。

住宅ローンの借入額を決める

金融機関での借入審査基準のひとつに「返済負担率」がありますが、これは年収に占める年間返済額の割合のことです。各金融機関ではその返済負担率を年収400万円未満は30%まで、400万円以上は35%までを上限としたりしています。

  • 年収500万円の人の返済限度額
    例えば年収が500万円で返済負担率の上限が35%であれば、年間の返済限度額は175万円(500万円×35%)となり、月々の返済額が約14万5,000円以下(175万円÷12ヵ月)となるような住宅ローンであれば借入可能ということになります。

ただし、金融機関からの借入限度額(借りることのできる額)は、月々の返済額以外に金利や借入期間によっても変わってくるので注意が必要です。

長期に渡って返済していけるかを考える

注意しなくてはならないことは、月々14万5,000円の返済を長期にわたって無理なく返していけるかということです。

「借りることのできる額」=「無理なく返済できる額」ではありません。

生活には住まいにかかる費用の他にも、子どもの教育費や老後に必要なお金など必要となる費用があります。住宅ローンの借入額を決めるにあたっては、それら将来のこともしっかり考慮しながら「無理なく返済できる額」で決めることが大切です。

住宅の購入資金限度額を計算する

住宅の購入資金限度額は「自己資金」+「住宅ローンの借入額」で計算できます。これまで見てきたように、自己資金は「現在の生活」に支障をきたさない範囲で、借入額は「将来の生活」に支障をきたさない範囲で購入資金限度額を決めていくようにしましょう。

注文住宅にかけられる費用をシミュレーションしてみよう

大きな買い物である住宅購入には、かかる費用を無理なく支払っていけると思えるまでさまざまな観点からしっかりシミュレーションしてみることが大切です。

ライフイベント表やキャッシュフロー表を作成して、住宅購入以外のライフイベントにかかる費用なども含め、将来にわたり家計が赤字にならないかどうかを確認することもシミュレーションのひとつです。

住宅金融支援機構が運営する【フラット35】というサイトでは、数字を入力するだけで住宅ローンの借入額や返済額をシミュレーションできるサービスが提供されています。こちらを利用して、借入額や返済額を調べてみてもいいでしょう。

住宅金融支援機構【フラット35】クイック・シミュレーション

注文住宅のメリットのひとつは、そうやって求められた住宅にかけられる費用に合わせて柔軟に設計や仕様を調整できることです。また購入時点では限られた予算で建てるとしても、将来また追加の資金が出来た際にリフォームしやすいような設計や仕様などにすることも可能です。

無理のない資金計画を立てて、安心して生活していける住まいを手に入れましょう。

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