住宅街に注文住宅を建てる際に知っておきたい!土地の利用や建物に関する法律の内容とは
(画像=beeboys/stock.adobe.com)
宮川敦子
新井智美
トータルマネーコンサルタント ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員、コンサルタントとして個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)を行う他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行うと同時に金融メディアへの執筆及び監修も行い、現在年間200本以上の執筆及び監修をこなしている。これまでの執筆及び監修実績 は1,000本以上。

住宅街に家を建てる際には、土地や建物に関するさまざまな規制を理解しておく必要があります。土地によっては建物に制限を受ける可能性がありますし、建築の際には専門用語についてある程度の知識を持っておくことで、建設業者との話し合いをスムーズに進めることができます。住宅街に注文住宅を建てるときにどのような法律が関係し、その内容はどのようなものなのか確認していきましょう。

建築基準法とは?

建築基準法とは、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めているもので、家を建てる際の規制が非常に細かく設けられています。まず、家を建てるには設計段階で確認を受ける必要があり、施工時そして施行終了時には中間検査そして完了検査を受ける必要があります。

ただし、これらの確認の申請ついては建設会社が行いますので、注文者が申請することはありません。建設会社は家を建てる前、そして建てた後に自治体もしくは自治体が指定する検査機関に申請して検査を受けることになっています。

ちなみに建てる前の確認は書類審査となり、完成した時点で完了検査を受けるという流れです。中間検査は必要と判断されたときに行われる検査です。

既定の仕様については、雨水排水溝や建物の部材、耐火基準や給排水設備などを始め、家を建てる敷地と道路の関係性や容積率、斜線制限などがあり、その土地の用途に応じた基準をクリアしなければなりません。

気をつけたい各種制限の内容

最初に家を建てる場所がどのような用途地域に属するのかを確認する必要があります。用途地域とは、都市計画法によって定められるもので、例えば市街化調整区域には住宅を建てることができないとされています。

既に住宅が立ち並んでいる住宅街であれば市街化調整区域に該当することはまずありませんが、市街化調整区域外の場所であっても都市計画法によってその土地の用途を区分し制限しています。

用途地域とは?

用途地域とは都市計画法によって定められた地域で、13種類に区分されています。そして、そのうち住宅を建てることができる地域は以下の8種類です。

  • 第一種低層住居専用地域
    低層住宅のための地域。この地域の建築物には高さ制限(上限12メートル)があり、住宅、共同住宅、店舗兼住宅、事務所兼住宅、幼稚園、小学校、中学校、高校などが建築可能。

  • 第二種低層住居専用地域
    低層住宅のための地域。高さ制限は第一種低層住居専用地域同じ。それに加え、床面積が150平方メートル以内の2階建て店舗、コンビニ、飲食店などが建築可能。

  • 第一種中高層住居専用地域
    中高層住宅のための地域。低層住居専用地域の条件に加え、2階建て以下500平方メートル以下の飲食店を始めとする店舗、スーパーなどの建設が可能。また300平方メートルまでの自動車駐車場も可能。また戸建て住宅や集合住宅ならば2〜3階建ても建築可能となる。

  • 第二種中高層住居専用地域
    中高層住宅のための地域。第一種中高層住居専用地域の条件に加え、2階建て以下1,500平方メートルまでの飲食店を始めとする店舗、事務所、施設などが建てられる。

  • 第一種住居地域
    住居の良好な環境を守るための地域。住宅のほか、3,000平方メートルまでの店舗、旅館やホテルなどの宿泊施設、ゴルフ練習場、スケート場、ボーリング場などのスポーツ施設が建てられる。カラオケボックス、マージャン店、パチンコ店の建築は禁止とされている。

  • 第二種住居地域
    住居の環境を守るための地域。大規模な店舗、宿泊施設などが建てられる。カラオケボックス、マージャン店、パチンコ店なども可能。ただし、これら以外の遊戯施設や風俗施設の建築は禁止となっている。

  • 準住居地域
    道路の沿道において、自動車関連施設などの立地と、これと調和した住居の環境を保護するための地域。住宅、集合住宅のほか、学校、病院などの公共施設や、1万平方メートル以下のショールーム、自動車車庫付きの店舗など、幹線道路の立地を活かした店舗を建てることができる。小工場・危険物処理の工場、風俗施設などの建設は禁止されている。

  • 田園住居地域
    農業の利用の増進を図りつつ、低層住宅の良好な住居の環境を保護するための地域。田園居住地域は、都市計画法の改正により13番目の用途地域として創設されたもの。住宅の建設制限は第一種低層住居専用地域に近いが、床面積が500平方メートル以下の農家レストランや農産物直販所などを建てることができる。

そして、これらの地域ごとに建てることができる建物の用途や高さなどが決められています。住宅を建てる際には、自分の土地がどの用途地域に属するのかを必ず確認するようにしましょう。

もし、低層住居専用地域に属するのであれば、建てる住宅の高さに制限がありますので、自分の希望する階数や天井の高さがその制限を超えていないかどうかを確認する必要があります。

敷地面積などによる制限とは?

住宅街のように建築物が立ち並んでいる場所では、道路幅員(道幅のこと)4メートル未満で、特定行政庁の指定したものを道路とみなし、その中心線からの水平距離2メートルの部分が境界線となります。

建築基準法では、水平距離が2メートル以上となるように定めているため、場合によっては建物の敷地を後退させる必要が生じます。これをセットバックといいます。

また、建築物の敷地は道路に2メートル以上接することが法律上で義務付けられており、これを接道義務といわれています。建物を建てる際には、これらのことを頭に入れておく必要があります。この接道義務が設けられた背景には、火災が発生した際などの救助活動を円滑に行うなど、地域住民の安全確保が目的としてあります。

防火地域もしくは準防火地域における制限とは?

住宅を建てようとする土地が防火地域、もしくは準防火地域に該当する場合は、建物の階数および床面積に応じて、住宅を耐火建築物にしなければなりません。

防火地域とは、都市計画によって指定された地域のうち、火災による延焼などの防止を目的として、特に厳しい建築基準を設けている地域です。そして、準防火地域とは防火地域ほどではないものの、比較的厳しい建築基準が設けられている地域となっています。

具体的には、防火地域に「3階建て以上」もしくは「延床面積100平方メートル超」の住宅を建てる場合、そして準防火地域に「4階建て以上」もしくは「延床面積1,500平方メートル超」の住宅を建てる場合は、耐火構造にする必要があります。

また、この場合の耐火構造としては、主要な構造部について一定の性能(鉄筋コンクリート造など非損傷性・遮熱性・遮炎性があるもの)を満たすものでなければなりません。

改正建築基準法の概要について

建築基準法については、これまでも何度か改正が行われており、その目的は防火対策や安全性の確保などといった社会的な要請に応じた内容となっています。

2018年および2020年に行われた改正については、現在の注文住宅建設に関する内容も含まれていることから、その内容を理解しておくことはこれから住宅を建てようとしている人は必要といえます。

2018年の改正点

では、まず2018年の改正においてどのような点が変わったのか見ていきましょう。

1. 防火地域および準防火地域内において、防火性能の高い建築物の建ぺい率を10%緩和
建築物の更なる安全性の確保を図るとともに、防火におけるリフォームを通じた市街地の安全性を確保する目的で、防火地域および準防火地域内における防火性能の高い建築物の建ぺい率※が緩和されました。

※建ぺい率:敷地面積に対する建築面積の割合

  1. 耐火構造等とすべき木造建築物の対象の見直し
    改正前:高さ13メートル・軒高9メートル超
    改正後:高さ16メートル超・階数4以上

木造建築物(共同住宅を含む)の整備の促進、および防火におけるリフォームを促進する目的で、耐火構造等にしなければならないとする木造建築物の対象について見直しが行われました。

具体的には、改正まであれば高さ13メートル及び、軒高9メートル超であることが要件でしたが、改正後は、高さ16メートル超で階数については4以上となっています。

2020年の改正点

  1. 敷地内に設置する通路の幅員
    注文住宅における建物については敷地内の通路の幅員を1.5メートル以上が必要とされていましたが、階数が3以下で延べ面積200平方メートル未満の建築物については、0.9メートル以上確保すればよいと緩和されました。この改正により、建物の設計を行ううえで、各間取りのスペース確保が従来よりも拡大されることとなりました。

  2. 窓などの開口部がない部屋の範囲
    窓やその他の開口部がない部屋については、その主要部分について耐火構造にする必要がありましたが、国土交通大臣が定める基準(避難する際に支障がないものと認められるもの)に適合する部屋についてはこの対象から除くことされました。

建築基準法以外にもある住宅に関係する法律

住宅を建てる際には、建築基準法以外にも「建築物省エネ法」が関係します。正式名称は「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」といい、建物を建てる際には、国が定めた建築物エネルギー消費性能基準を満たすために必要な措置を講ずる必要があるとされています。

その基準とは、「一次エネルギー消費量が基準値以下となること」や、「外皮(外壁、窓等)の表面積あたりの熱の損失量(外皮平均熱貫流率等)が基準値以下となること」など、省エネ性能向上のための取組を行うことを求めたものとなっています。

最近の改正内容

2021年4月からは、300平方メートル未満の小規模住宅・建築物の設計に際して、建築士から建築主に対して、「省エネ基準への適否」、「(省エネ基準に適合しない場合)省エネ性能確保のための措置」の内容について書面で説明を行うことが義務づけられることとなった点も覚えておきましょう。

 
改正前 改正後
大規模
(2,000平方メートル以上)
届出義務 届出義務
審査手続きの合理化を通じて、指示・命令等の監督の実施を重点化
中規模
(300平方メートル以上
2,000平方メートル未満)
小規模
(300平方メートル未満)
- 説明義務

(出典:国土交通省 建築物省エネ法が改正されました 改正のポイント)

住宅を建てる際には、関係する法律の内容を確認しておこう

ここまで述べてきたように、土地の利用、そして建物の建設についてはさまざまな法律が関係します。もちろんその全てを理解する必要はありませんが、最初に知っておくことで、土地購入の取引や住宅建築の際の建設会社との取引をスムーズに進めることにつながります。

不動産業者や建設会社は専門知識を持っているため、取引や打ち合わせの途中で揉めることはあまりないとは思いますが、自分が知識を有していなかったことにより、希望どおりの住宅を建てられないというケースはありえます。

特に高さ制限や建ぺい率などがどのようになっているのかについては、あらかじめ不動産業者および建設会社の方に聞いておき、自分の希望するような住宅が建てられるのか、建てられないとしたらどのような代替案があるのかについてもしっかりと話し合っておくことが大切です。

【あなたにオススメ】
注文住宅で失敗しないために。後悔しない家づくり(間取り)のポイント
注文住宅の種類とは?それぞれの特徴と注意点を解説
新築と中古はどちらがお得?メリットやデメリットについて徹底解説