注文住宅で2階建ての家をお考えの方はとても多いと思います。今も昔も戸建て住宅の定番であり、住宅地の景観を見ても2階建て住宅が多数派であることが見て取れます。しかし、2階建てであれば何でもよいということはなく、2階建て住宅を検討する際には押さえておくべきポイントがあります。そこで今回は2階建て注文住宅の「こんなはずでは……」を防ぐために、押さえておきたい大切な5つのポイントを1つずつ解説します。

ポイント1:なぜ、2階建てなのか

注文住宅として検討できる戸建て住宅のなかで、2階建ては確かに定番に近いものです。総務省が5年に1回行っている「住宅・土地統計調査」の平成30年版では、一戸建て住宅のうち「2階建て以上」が約85%を占めていることが見て取れます。

平成30年住宅・土地統計調査
(画像=平成30年住宅・土地統計調査)

(出典:総務省統計局 平成30年住宅・土地統計調査

ほとんどの人が「一戸建て=2階建て以上」と考えていることは明らかですが、その他にも平屋(1階建て)や3階建て、もしくはそれ以上など、さまざまな選択肢があります。そのなかで、なぜ2階建てなのか?との問いに対する答えはあるでしょうか?

平屋よりも2階建てのほうが床面積を多くとれるため、広い家になります。さらに2階部分は自宅内のプライバシーを確保しやすいなどのメリットがあります。その一方で、生活動線が複雑になったり、高齢になると上下階の移動が難しくなるなどのデメリットもあります。

また、現在の家族構成がずっと続くとは限らず、子どもが進学・就職で自立するなど家族が減ったときに、2階建て住宅を持て余してしまうこともあります。

こうしたメリットとデメリットを十分考慮して、「なぜ2階建てなのか」との問いに対する答えを用意して、目的を明確にしておきましょう。

ポイント2:動線を入念に検討する

先ほど、生活動線について触れました。家は見て楽しむものではなく、日々の生活の場です。家事をしたり、勉強や仕事をしたり、自由時間を過ごすなど、人は家のなかでさまざまな時間を過ごします。

そこで重要になるのが生活動線です。あまり固定概念に捉われることなく、その家に住む人の目線を最優先して設計を依頼するべきでしょう。

特に重要になってくるのが家事における生活動線です。例えば、洗濯は洗濯機がある場所と物干しの場所があり、その間を移動することになります。そのための移動の動線が重要になります。動線上に子ども部屋があったり、テレワークのスペースがあったりすると動線が交錯してしまいます。

そうなると家事をスムーズに行うことができなくなるため、これらの部屋を避けるよう遠回りして、移動することになり、家事の負担が増えることが考えられます。移動距離が長いと不便になるだけでなく、つまずいたり滑ったりすることによって転倒事故の原因にもなります。

体力があるうちはたいした負担でもないかもしれませんが、高齢になると話は違ってきます。2020年に消費者庁が公表したデータによると、高齢者の転倒事故の48%が自宅内で起きています。

事故の発生場所として最も多いのが「浴室・脱衣所」で、「庭・駐車場」「ベッド・布団」「玄関・勝手口」「階段」の順になっています。家事のしやすさだけでなく、バリアフリーの観点からも、注文住宅を建てる際には生活動線をしっかりと考慮しましょう。

事故の発生場所
(画像=事故の発生場所)

(出典:消費者庁 10月10日は「転倒予防の日」、高齢者の転倒事故に注意しましょう!

ポイント3:子ども部屋と生活空間を可視化する

せっかくの注文住宅なので子どもが成長したときのことも考えて立派な子ども部屋を、とお考えの方は多いのではないでしょうか。しかし、子どもの健やかな成長を願うならば、成長にあわせて子ども部屋を変えていくことをおすすめします。

子どもが小さいうちはリビングで過ごすことを基本として、勉強もリビングの一角に机を置くなどオープンスペースでやるのが望ましいでしょう。家事をしているときや、くつろいでいるときでも目が届きやすく、危険防止にもなります。

年齢が高くなってくると、自分の独立スペースとして子ども部屋を欲しがるようになります。そうなると2階に子ども部屋を設けるのが普通ですが、鍵を設けるとなどあまり独立性を高めすぎないほうがよいでしょう。独立性が高すぎると引きこもりの原因になるなど教育面でのリスクもあります。

ポイント4:セキュリティを意識する

これから家づくりでは、セキュリティ(防犯)への配慮が不可欠です。というのも、空き巣狙いはもちろんのこと、自宅に人がいても押し入ってくるケースもあることから100%安心していられない現実があります。

プライバシーを守る意味では2階建て住宅の2階部分は有効なのですが、2階にベランダがある家は侵入しやすく狙われやすいと指摘する防犯の専門家もいます。2階だからといって安全ではないという意識をもって、警察が推奨しているような防犯設計や、防犯グッズによってしっかりとセキュリティを確保しましょう。

警察は補助錠や防犯性能の高い建物部品の活用、さらには家周辺の照明や防犯カメラの設置などを推奨しており、注文住宅であるメリットをいかして建物部品選びにセキュリティの要素を盛り込むことによって、犯罪に強い家づくりができます。

一般的に犯罪のリスクが高いのは都市部で、郊外ではあまり関係ないと考えられがちです。以前は地方の家は鍵をかけないことが当たり前であるかのような時代もありましたが、現在ではそれは通用しません。郊外だからといって油断することなく、犯罪に強い家づくりを意識してください。

ポイント5:間取りの事例やモデルハウスの「完コピ」はNG

「家は人生最大の買い物」といわれるように、人生において何度も注文住宅を建てる人はそういないでしょう。そのため、自分は素人だからと間取り事例やモデルハウスの間取りをそっくりそのまま採用してしまうことがありますが、これは推奨しません。それ以前に、有り物を「完コピ」するのであれば注文住宅の意味がありません。

家には日照や土地の向き、形状などそれぞれに特有の事情があります。1つとして全て事情や条件が同じ土地は存在しないので、汎用的な間取りが最適であるとは限りません。また、都心と郊外では土地の広さや周辺環境もまるで異なるので、これだけ条件が異なるものを1つの理想形にはめてしまうのは、いささか無理があります。

自分たちの思いや主張、個性を盛り込むことができるのが注文住宅の魅力です。その魅力をみすみす捨ててしまうのはもったいないことなので、自分たちのこだわりをしっかりと伝えて納得のいく家づくりにしてください。これは2階建ての注文住宅だけでなく、すべての注文住宅にいえることです。

後悔のない家づくりを

今回は夢を抱いて立てた2階建ての注文住宅で「こんなはずでは……」となってしまわないよう、押さえておきたいチェック項目を5つに整理して解説しました。家は人生最大の買い物であり、それが注文住宅であればなおさらです。

1つめに挙げた「2階建て住宅である理由」は特に重要で、その理由が明確になっていないと後になってから不具合を感じたときに強く後悔をしてしまいます。少なくとも数十年は住み続けることになる大切な我が家を安全で快適な空間にするために、このチェックリストをお役立てください。

【あなたにオススメ】
注文住宅で失敗しないために。後悔しない家づくり(間取り)のポイント
注文住宅の種類とは?それぞれの特徴と注意点を解説
新築と中古はどちらがお得?メリットやデメリットについて徹底解説