注文住宅を建てるにはどのくらいの予算が必要?地域によって異なる相場
(画像=BBuilder/stock.adobe.com)
新井智美
新井智美
トータルマネーコンサルタント ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員、コンサルタントとして個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)を行う他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行うと同時に金融メディアへの執筆及び監修も行い、現在年間200本以上の執筆及び監修をこなしている。これまでの執筆及び監修実績 は1,000本以上。

住宅を購入する際に、マンションのような集合住宅を選ぶのか、それとも戸建ての注文住宅を選ぶのかについては、現在のライフスタイルやこれからのライフプランによって変わります。住宅は高価な買い物ですので、買い替えるといったことが気軽にできません。購入を検討されている方は、どのような暮らしをしたいのか、十分に考えてから決める必要があります。今回、住宅の購入を検討されている方のために、平均的な予算を調査しました。

目次

  1. 地域別注文住宅の相場
  2. 土地を購入するかしないかで費用は大きく異なる
    1. 建売住宅と注文住宅の違いとは?
  3. 注文住宅を建てる際の予算の決め方
    1. 返済負担率から予算を考える
  4. 建設費用を節約するポイント
    1. 節約を考える際の注意点
  5. ライフプランを考慮しながら予算を決めよう

地域別注文住宅の相場

まずは、注文住宅を購入した方の平均的な建築費用を見ていきましょう。住宅金融支援機構が発表している「2019年度フラット35利用者調査」によると、以下のようになっています。

【2019年度フラット35 注文住宅融資利用者の主要指標】

全国 首都圏 近畿圏 東海圏 その他地域
住宅面積(㎡) 125.8 125.2 125.3 127.8 125.6
建設費(万円) 3,452.4 3,768.8 3,553.0 3,518.6 3,274.5

(出典:住宅金融支援機構 2019年度フラット35利用者調査

住宅面積については、全国的にそこまでの違いはありませんが、建設費用についてはやはり首都圏が高く、2番目に近畿圏、その次に東海圏となっています。また、首都圏とその他地域は、約500万円と大きく差が開いていることがわかります。なお、この費用はあくまで住宅の建築費用であり、土地の購入代金は含まれておりません。

ちなみに2019年度のフラット35の融資件数は83,513件ですが、そのうち注文住宅は約1万1,666件となっています。それに対して土地付き注文住宅の融資件数は約2万3,291件と約2倍となっており、注文住宅を購入する際は土地も含めて購入するケースが多いことがわかります。

【2019年度フラット35 融資区分(建て方別)の集計件数】

融資区分(建て方別) 本報告上の名称 2019年度
建物新築資金 注文住宅 11,666件
土地付建物新築資金 土地付注文住宅 23,291件
新築購入資金(戸建等) 建売住宅 20,133件
新築購入資金(共同建) マンション 8,653件
中古購入資金(戸建等) 中古戸建 8,263件
中古購入資金(共同建) 中古マンション 11,507件
合計 - 83,513件

(出典:住宅金融支援機構 2019年度フラット35利用者調査

土地を購入するかしないかで費用は大きく異なる

それでは、土地付き注文住宅の建築費用および土地の購入価格の平均を見てみましょう。

【2019年度フラット35 土地付注文住宅融資利用者の主要指標】

全国 首都圏 近畿圏 東海圏 その他地域
住宅面積(㎡) 111.5 105.8 111 115.2 113.8
建設費(万円) 2,874.30 2,751.60 2,749.30 3,019.40 2,945.20
土地購入費用(万円) 1,382.50 2,241.70 1,594.10 1,258.70 924
建物+土地合計(万円) 4,256.80 4,999.30 4,343.40 4,278.10 3,869.20

(出典:住宅金融支援機構 2019年度フラット35利用者調査
※建物+土地合計は編集部が算出

やはり、土地付き注文住宅の場合となると、土地にかかる費用が高額となることから、土地を購入しない場合に比べ、住宅面積も少なめになり、さらに建築費用についても大幅に節約していることがわかります。

ここで注目すべきは首都圏とその他地域の違いです。住宅面積はその他地域のほうが広く、建設費用は200万円ほど多くなっています。そして土地の購入費用は首都圏で約2,200万円、その他地域で約920万円となっており、2.5倍近い開きがあります。

この結果から、その他地域では土地購入費が安くすむ分、建築に費用をかけ、首都圏では建築費用を節約し、土地購入費用にあてているのではないかと推察することができます。

建売住宅と注文住宅の違いとは?

注文住宅を考える際、建売住宅も視野に入れる方もいることでしょう。建売住宅は注文住宅と異なり、土地と建物を合わせて購入する形のもので、建物の構造なども決まっていることから分譲住宅ということもあります。

建売住宅の場合はすでに間取りや建築資材などが決まっており、注文住宅のような完全なオーダーメイドといえない点がデメリットですが、その分注文住宅よりも安く購入できるというメリットもあります。

実際に購入した件数を見てみましょう。先ほどの「2019年度フラット35 融資区分(建て方別)の集計件数」によると、土地付き注文住宅が2万3,291件なのに対し、新築建売住宅は2万133件となっています。やはりせっかく家を購入するのであれば、完全なオーダーメイドの注文住宅を購入したいという考えを持つ方が多いのが実情のようです。

注文住宅を建てる際の予算の決め方

住宅購入の予算を考えるうえで大切なことは、「このくらいの住宅なら買える」という考えではなく、「このくらいの返済額であれば返済していくことができる」という、住宅ローンの返済額を重視することです。

もちろんこだわりのある人であれば、細かい部分までデザインや材質に妥協しないことから、建築費用もそれなりに高くなってしまいます。とはいえ、高額な住宅を現金で購入できる人は少なく、住宅ローンを組んで返済していくケースが大半を占めることでしょう。

こだわりすぎて建設費用が高くなった結果、金融機関から希望する金額を融資してもらえないことも十分にありえるので、こだわりすぎないよう心がける必要があります。

返済負担率から予算を考える

返済負担率とは、年収における住宅ローンを含むローン全体の年間返済額の割合のことをいいます。住宅金融支援機構が発表している住宅ローン利用者調査(2020年11月調査)の結果によると、最も利用割合の高い返済負担率は「15%超20%以内」となっています。利用割合の内訳としては、変動型が26.9%、固定期間選択型が24.5%、全期間固定型が23.3%です。

返済負担率
(画像=返済負担率)

(出典:住宅金融支援機構 2019年度フラット35利用者調査

ちなみに、住宅金融支援機構が行った「2019年度 フラット35利用者調査」によると、土地付き注文住宅を購入している方の平均の世帯年収は約627万円(全国平均)で、融資を受けた際の年収倍率は約7倍となっています。単純に計算すると約4,300万円の融資が可能であるという結果です。

自己資金として別途頭金や住宅ローンを組む際に必要となる諸費用を用意することが出来るのであれば、その分建築費用にかける予算に余裕ができるといえるでしょう。

とはいえ、年収627万円で返済負担率を20%と考えると、毎月の返済可能上限額は約10万円です。単純に年収を12ヵ月で割れば月々の世帯収入は約52万円になります。

生活費、子どもの教育費、車があれば車のローン、将来のための貯蓄などにプラスして、住宅ローンの返済額が加わっても月々の家計に負担にならないかをよく考え、最終的な予算を決める必要があるといえます。

住宅ローンの借入額を検討する際には、まず毎月の返済可能額をはっきりと決めた後で、複数の金融機関の住宅ローン商品で比較するようにしましょう。

建設費用を節約するポイント

自分好みの家を建てようとするとどうしてもこだわってしまうものです。結果、予算をかなりオーバーしてしまうことも考えられます。その際には、その家にずっと住み続けることによって発生する修繕費用など、今後の費用を考えながら節約できるポイントを見つけることが大切です。

例えば特殊な材質を利用しているのであれば、当然今後の修繕の際の費用も高くなるでしょう。見た目にこだわるのか、機能にこだわるのかによっても異なりますが、可能であれば、同じ外観や機能で費用を安く抑えることができる材質を取り扱う建設会社を探すなど、可能な限り妥協するように努めましょう。

ただし、あまりにも妥協しすぎてしまうと注文住宅の意味がなくなってしまいますので、あくまでも自分が譲れる範囲内でこのくらいのものなら大丈夫というレベルに抑えることも大切です。

節約を考える際の注意点

節約を考える際においても、耐震面や耐火面については十分な安全性を確保できるものにしておく必要があります。また、戸建てはマンションと比べて防犯面にも気をつける必要があります。

家族の安全を第一に考えながら、建物の間取りやキッチンなどの面で節約できる場所をあげ、どのくらい節約できるのかじっくり考えていくことをおすすめします。

ライフプランを考慮しながら予算を決めよう

注文住宅を建てる際には、建物のデザインや間取りなどが自分で決められることから、出来上がったイメージばかりが先立って足元が見えなくなりがちです。将来ずっと住み続けるのであれば、リタイア後に生活するにあたって必要なリフォームが無理なく行えるように考えておくことも大切です。

また、注文住宅は建設会社との請負契約が必要ですが、その際には複数社で見積もりを取って比較するようにしてください。比較することによって、新たな節約ポイントが見つかる可能性もあります。

そして、予算については今後の返済計画に無理がないように、余裕を持って決めるようにしましょう。特にまだ子どもが小さい場合や、今後家族が増えていくことが予想されるのであれば、子どもの教育費用なども考慮しておく必要があります。

自分たちのライフプランを良く考えながら、無理のない範囲内に収まるようにじっくりと検討しましょう。

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